高配当のJTは買うべきなのか?配当性向や財務状況から分析してみた

証券資産運用

株式投資にはキャピタルゲインとインカムゲインというものがあります。

キャピタルゲインは株式の売買で得る利益のことで、インカムゲインは株式を保有することで得る配当や株主優待などの利益のことです。

長期投資を行うにあたってはインカムゲインはとても重要になります。なぜなら何もしなくてもお金を運んできてくれるから。


そんなインカムゲインは配当利回りが大きいほど貰える金額も大きくなります。


そして、利回りが大きい銘柄の1つにJT(日本たばこ産業)があります。タバコで有名な日本たばこ産業のことですが、株価の下落に伴い、現在(2019/8/23)の利回りはなんと6.73%です!


すごい利回りですね。年間配当150円で株価は現在2229円で、2142円まで下がると利回りは7%に突入します。今の低金利時代に破格の利回りですね。


そんな高利回りのJT株ですが、買っていいのでしょうか?

最近の業績などから考えていきます。

事業内容

投資する対象の事業内容を知らないというわけにはいかないので、まずJTの事業内容についてです。

JTの事業セグメントは主に3つです。

  • たばこ事業
  • 医療事業
  • 加工食品事業


JTはたばこだけの会社と思っていたのですが、医療事業加工食品事業もあるようです。全く知りませんでした。ただ、売上の約8割はたばこなので、たばこ事業が主に会社を支えるセグメントになっています。


近年では国内が頭打ちになってきているので海外に積極的に展開しています。海外の売上は国内の2倍以上となっており、海外展開の成果が見えます。

また、紙巻たばこは時代の流れもあり売れ行きが悪くなってきているので加熱式たばこの開発にも力を入れているようです。


3つ事業を抱えていますが、たばこが中心のセグメントであり、そのたばこも売れ行きは悪くないようです。たばこはニコチンで依存症を起こすので、劇的な売上減少もあまりないのではないでしょうか。


また、たばこの国内市場は売上の過半数はJTが占めているというのも強みですね。

近年の業績

ではJTの業績はどのようになっているのでしょうか。

高配当でも業績が悪くなると減配の恐れがあります。せっかく高配当で投資したのに配当が減ってしまえば元も子もありません。

JTの2014年から2018年の業績と2019年の予想です。

決算年月売上高営業利益純利益配当
15.122,252,884565,229490,242118
16.122,143,287593,329421,695130
17.122,139,653561,101392,409140
18.122,215,962564,984385,677150
19.12(予想)2,200,000540,000370,000154
JTの業績推移

過去4年間で売上はほぼ横ばいですが、利益は少し減っているようです。しかし配当は毎年増加しています。

利益は変わらず、配当金が増え続けるとどうなるのかというと、簡単な話で会社に内部留保できる金額が毎年減っていくということです。新たに投資に回したりするお金があまり残らないということですね。

ただ、成熟した企業で毎年大きな投資を行っていない場合、余った利益を株主還元するため、増配や自社株買いをするケースが多いです。

つまり、毎年増配するような企業はある程度成長しきっているので、キャピタルゲインとしての大きな利益は期待しにくいということです。


毎年増配しているJTの配当性向は以下のとおりです。

年度1株当たり配当金(円)連結配当性向(%)
中間期末年間
2019年度7777(予想)154(予想)74.6(予想)
2018年度757515069.7
2017年度707014063.9
2016年度646613055.2
2015年度546411853.2
2014年度505010050.1
2013年度46509640.8
2012年度30386837.6

2019年の配当性向は74.6%というすごい還元率です。

残った利益の4分の3以上を株主に還元しています。すごい還元率ですね。


ただ、2012年は37.6%であった配当性向も今や74.6%にまで増加しています。配当性向が100%になれば会社の利益はすべて株主に払われるようになるのですが、そんなことをすると会社の資産が増えないのでありえないでしょう。


利益が少しづつ減っている現状として、これ以上の増配は難しくなってくるのではないでしょうか。

そもそも配当性向を上げ過ぎなきもしますが……。

タバコ業界の今後について

配当を増やし続けているJTですが、売上があまり増えていません。


このままだと、これ以上配当を増やすことが出来ません。どうすれば配当を増やせるのかというと、単純な話で純利益が増えればいいのです。


配当の原資が増えれば配当を今後も増やすことが可能になります。純利益が増えれば増えるほど配当性向も下がります。そのため、また配当を増やすことができるようになります。


利益を上げるにはコストカットして収益性を上げるか、売上そのものを上げる方法がありますが、コストカットには限界があるので、売上の増加に期待したいところです。


では、タバコ業界は今どのような状況に置かれているのでしょうか。

まず、日本では喫煙率は年々下がり続けています。

喫煙率
出典:厚生労働省  http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd090000.html

平成30年では男性27.8%、女性8.7%という結果となり、健康への関心の高まりや、喫煙場所の減少、値上げなど様々な要因から喫煙者は今後も減り続けるのではないでしょうか。

国内ではこれ以上の売上の爆発的な増加は期待できません。では、世界ではどうかというと、中国が圧倒的な消費量を誇っています。

さすがに13億人の人口を抱える国だけあって、他は地域の統計ですが、中国のみで単独首位です。それでも近年は減少傾向であり、さらに中国政府も喫煙率を低下させようとしているので、これからもシェアは下がり続けるのではないでしょうか。

ただ、東南アジアはやや増加傾向のようなので、人口の変化などでどうなるかわかりません。


しかし、世界的には健康問題などもあり、タバコは抑制される対象となっていくでしょう。業界としての未来は決して明るいものではないと考えられます。

結論:JT株は買いなのか?

結論として、長期投資を行う銘柄としては微妙である。というのが僕の結論です。

理由としては、まず第一にたばこ業界の今後に期待がもてないという点です。世界的に禁煙の流れがあり、爆発的にどこかの国でシェアが伸びるなんてことはありえないと思うからです。

そして、圧倒的なシェアを誇る中国も屋内全面禁煙なんてことをやっているようで、徐々に消費量も減っていくのではないでしょうか。

業界が全体的にしぼんでいくのは目に見えています。

JTの売上も実際に横ばいとなっており、成長していくのが厳しい状況です。



そして、次に、JTの増配は限界が近いということです。15期連続増配という株主還元に積極的な会社ですが、すでに配当性向は約70%となっています。

これ以上増配するといよいよ会社に残るキャッシュがなくなってしまいます。会社にキャッシュが残らないようになると、今後、会社として投資する際にキャッシュ不足なんていうことにもなりかねません。


加熱式タバコの開発も出遅れており、フィリップ・モリスにiQOSで大幅にシェアを奪われています。
配当に力を入れるより、加熱式タバコの開発にもっと力を入れるべきではないかと思ってしまいます。


何にせよ、配当を増やしすぎている気がします。今後の業績次第では減配も十分にありえるでしょう。



そういった理由から、僕はJTは配当の高さは素晴らしいが、長期的にもつには適していないと考えました。なのでトータルでは微妙という結論です。

まとめ

JT 株価

JTの情報をまとめてみると、

  • 15期連続増配の株主還元に力を入れている企業
  • 配当性向は約70%と限界が近い
  • たばこ業界の成長に期待はしづらい
  • 減配のリスクが潜んでいる

という結果になりました。

長期投資先としてJTを選んでいる方も多いと思います。配当利回りも高く、魅力的に見えることは確かですね。

ただ、配当利回りが高いということは多くの投資家が今後業績が悪化する可能性が高いということを考えている現れでもあります。


今後も成長が期待されるのであれば、株価は自然とあがり、配当利回りも低くなるのが自然です。しかしJTの株価はどんどん下がっています。


仮に、JTの株価が現在から20%下がった場合、利回りは6%なので、4年間保有してやっとプラスです。
しかし、4年間保有してJTが減配しない保証はあるでしょうか?


もちろん、ここから株価が上がってただの懸念にすぎないかもしれませんが、何があるかわからないのが投資の世界です。


今後上がる可能性と、下がる可能性を考え、配当も維持されるかさらに増えると考えるのであれば投資すべきですし、マイナスリターンの可能性が高いと考えるなら投資しなければいいだけの話です。


そして、僕はマイナスリターンの可能性が高いと調べてみて感じたので投資対象から外しました。


JTは今後の加熱式たばこのシェア獲得と、海外展開の成功具合に今後がかかっているのではないでしょうか!


僕の分析結果は以上です!

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