NISAでダブルインバースのようなETFを買うのは愚行です

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米中貿易摩擦やブレグジットなど様々な要因と企業決算からの成長率の鈍化からリセッションが来ると年初から言われていましたが、10月になった現在、なぜか日経平均株価は年初来高値を更新しました。

NK

10月21日の終値は22,548.90円です。年初は19,000円を割り込むような勢いでしたが、3,000円近くあげてきました。経済が悪くなるというニュースが流れているのに、なぜこんなに日経平均株価は上昇したのか。その理由の一つに空売りの増加があげられています。

空売りとは、株を借りて最初に株を売り、株価が下がったところで買い戻すことで差額を利益として得られる信用取引で、株価が下落しても利益を得る方法です。

逆にいうと将来の買い要因というわけです。10月4日時点で売り1兆6575億円、買い5067億円と圧倒的に売りが多く、株価が下がっても売り方が買い戻して株価を戻してくれるわけです。

そんな売り目線が多いと増えてくるのが日経平均ダブルインバース・インデックスです。日経平均がさがると下落率の2倍上がるETFで、相場が下げそうなときのリスクヘッジになります。

ただ、この商品は短期的なリスクヘッジで使うものであり、NISAのような非課税枠で買うものではありません。

NISAで買うのは愚行なのでやめましょう。

その理由を書いていきます。

日経平均ダブルインバースとは

日経平均ダブルインバース・インデックスとは日経平均と連動して動くETFです。詳しくは野村アセットマネジメントのホームページにも記載してあります。

対象指標の概要

日経平均ダブルインバース・インデックスは、日々の騰落率を日経平均株価の騰落率の-2(マイナス2)倍として計算された指数で、2001年12月28日の指数値を100000ポイントとして計算されています。

NEXT FUNDS 日経ダブルインバース指数ETF(1357)https://nextfunds.jp/lineup/1357/

簡単にいうと指数の騰落率の反対に2倍の大きいさで動くETFということです。日経平均が-1%動いた場合、ダブルインバースは+2%になるということです。名前の通り、2倍のレバレッジがかかったETF商品というわけです。

相場が下落すると保有株も下落する可能性が高くなりますが、そういったときのリスクヘッジとしても使える商品になります。

なので下落相場を耐えるためには使える商品というわけです。

レバレッジ型ETFは減価する

レバレッジ型ETFは短期勝負に使う商品です。その理由はたった1つ。減価するからです。

減価とはそのままで、価値が減ります。例えば日経平均ダブルインバースの場合、2001年12月28日の日経平均株価を基準として100000ポイントが設定されました。その時の日経平均は10,542.62円です。そして、現在は22,548.90円なので2001年から約2倍です。

ということは、順当に行けばダブルインバースは4分の1の2500ポイントになっているはずです。しかし、現在のダブルインバースは983ポイントです。約10分の1になっています。10分の1となると日経平均は5万円近くないといけないはずですが、その半分の22,000円程です。

このように減価が起こり、本来の価値よりも低い価値になってしまいます。


実際に計算すると減価が起こることがわかります。

100000ポイントが基準だったで100000を基準とします。
日経平均は10,542.62円だったので、10000円と仮定します。

毎日1%ずつ日経平均が上昇したとすると以下のようになります。

日付日経平均基準比ダブルインバース基準比
1日目10000.000.00%100000.000.00%
2日目10100.001.00%98000.00-2.00%
3日目10201.002.01%96040.00-3.96%
4日目10303.013.03%94119.20-5.88%
5日目10406.044.06%92236.82-7.76%

反対に毎日1%ずつ下がった場合は以下のようになります。

日付日経平均基準比ダブルインバース基準比
1日目10000.000.00%100000.000.00%
2日目9900.00-1.00%102000.002.00%
3日目9801.00-1.99%104040.004.04%
4日目9702.99-2.97%106120.806.12%
5日目9605.96-3.94%108243.228.24%



1日目は問題ないですが、2日目以降に価格が変動しています。5日目には日経平均が5日前から4.06%上昇したのに対して、ダブルインバースは-7.76%の2倍の差は開いていません。

反対に、下落時はダブルインバースの方が2倍以上上昇しています。これならひたすらにダブルインバースは上がり続けるような気がします。ただ、相場というものは一方向に毎日動くことはなく、日々上下に動きます。

では毎日上下に動いた場合はどうなるのでしょうか。数値を大きく動かすため、日経平均が毎日2%ずつ上下するとします。20日後は以下のようになります。

日付前日比騰落率日経平均基準比ダブルインバース基準比
1日目0.00%10000.000.00%100000.000.00%
2日目2.00%10200.002.00%96000.00-4.00%
3日目-2.00%9996.00-0.04%99840.00-0.16%
4日目2.00%10195.921.96%95846.40-4.15%
5日目-2.00%9992.00-0.08%99680.26-0.32%
6日目2.00%10191.841.92%95693.05-4.31%
7日目-2.00%9988.00-0.12%99520.77-0.48%
8日目2.00%10187.761.88%95539.94-4.46%
9日目-2.00%9984.01-0.16%99361.53-0.64%
10日目2.00%10183.691.84%95387.07-4.61%
11日目-2.00%9980.02-0.20%99202.56-0.80%
12日目2.00%10179.621.80%95234.45-4.77%
13日目-2.00%9976.02-0.24%99043.83-0.96%
14日目2.00%10175.541.76%95082.08-4.92%
15日目-2.00%9972.03-0.28%98885.36-1.11%
16日目2.00%10171.471.71%94929.95-5.07%
17日目-2.00%9968.04-0.32%98727.15-1.27%
18日目2.00%10167.411.67%94778.06-5.22%
19日目-2.00%9964.06-0.36%98569.18-1.43%
20日目2.00%10163.341.63%94626.41-5.37%

日経平均が20日前から+1.63%に対してダブルインバースは-5.37%と2倍以上のマイナスになっています。21日目を-1.6%下落したと仮定して、無理やり元の10000円に日経平均を調整すると、ダブルインバースは-2.35%となり、日経平均がもとに戻ってもダブルインバースは元に戻らないことがわかります。

このように、相場が上下に動くため、ダブルインバースのようなレバレッジ型ETFは減価してしまいます。

ダブルインバース5年チャート
日経平均5年チャート

ダブルインバースと日経平均のチャートですが、ダブルインバースは見事に右肩下がりですね。日経平均と動きは似ていますが、ダブルインバースの価格は年々下がっています。2015年7月の日経平均と2019年1月の日経平均はともに2万円付近ですが、ダブルインバースは半分以下になっており、減価していることがわかります。


ダブルインバースのようなETFは減価することがご理解いただけたかと思います。

NISAでダブルインバースは買ってはいけない

景気減速懸念もあり、日経平均が下がると思っている人が多いからこそ空売り比率や裁定売り残も多くなり、相場は底堅くなっているわけですが、NISAでダブルインバースを買い込んでいる個人の方もいるようです。

NISA買付ランキング

NISAは120万円の非課税枠が毎年あるわけですが、配当金や譲渡益に対する税金が一切かからないというメリットがあります。つまり、長期保有で利益を大きく上げれば、大きく税金が免除されるという利点があります。決してダブルインバースのようなヘッジ商品に使うようなものではないです。

そもそも、NISAで短期の利益を非課税にするメリットがあまりありません。数日で20%以上の値幅を狙える確信があるなら話は別ですが、ダブルインバースで大きな値幅を取るというのはかなり難しいです。

また、NISAは売買するとその分年間の上限額が減るので、短期トレードをするとすぐに上限に達してしまいます。

それでもNISAが週間買付ランキングにランクインするということは、NISAがの制度をわかっていないのか、ダブルインバースという商品を理解していないのか、または日本株が数ヶ月のうちに暴落すると思っている人が多いのか。

そんな疑問が浮かびます。そもそも、ダブルインバースを長期保有すると減価するので確実に損をするのですが、そのあたりはNISAで買っている人は理解しているのでしょうか。金融リテラシーは義務教育で身につけるべきだと僕は思いました。

金融商品はしっかりと理解してから買いましょう

ダブルインバース以外にも金融商品はたくさんあります。しかし、残念ながら自分で詳しく調べずに買ってしまう人が一定数いるというのも事実です。

金融商品は自分の大切なお金を預けているという認識を持ち、自分で理解したものに投資していきたいですね。


投資は自己責任です。

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