SIerから転職する人が後を絶たない理由!SIerの中の人が語る

忙しい仕事

SIerとはSystem Integratorの略であり、日本語にすると「システムを統合する人」といったニュアンスになります。その名の通り、システムを作ってお客さんに納品する仕事をしている人のことを言います。

システムを最初から作ってメンテナンスまで対応するシステムトータルサポート会社のようなものになります。会社で言うと、野村総研、NTTデータ、日本オラクル、IBM、富士通、NECなどがあげられるでしょうか。聞き慣れた会社もいくつかあるかもしれません。


しかし、そんな有名企業の社員の人が続々と退職していく事態になっています。
「SIer 退職エントリ」でググると多くの退職エントリが出てきます。特にN社とF社はバズっているのを目にしますね。

待遇も決して悪くはなく、知名度もあるこれらの会社から多くの人が転職するのでしょうか。

その理由を大まかにまとめました。

  • Excel職人
  • 顧客の御用聞き
  • いつまでも続く古いシステム
  • 新しい技術を取り入れない
  • 新しいことへの挑戦

大きくこういった理由が多いです。出来る人から辞めていっているようにも思えますね。
理由を1つずつ、現職のSIerである僕が解説していこうと思います。

Excel職人

Excel

Excel職人とは、Excelを極めしもである……。

そんなわけはなく、ひたすらに大量のExcel方眼紙と向かい合い、仕様書の作成、進捗管理、社内の報告資料を作り続ける人のことを指しています。

SIerはシステムをトータルサポートする会社ですが、実際にシステムを作る時にプログラムを書くことはほとんどありません。プログラムは協力会社や子会社に開発を投げています。なので、SIerのエンジニアでプログラムを読むことが出来なければ、理解することも出来ない人が多く存在します。

システムエンジニアという肩書を持ちつつも、一度もプログラムを書いたことがない人間もいました。


そんな人達はスケジュールの管理やお金の管理をExcelを見ながら行っています。他にはステム導入のための手順書をひたすら作ったり、システムにバグがないかのテストを延々と行ったりしています。

中でも僕はテストが一番キライです。出来上がったシステムをテストパターン通りに動かし、スクリーンショットを撮って結果をExcelに貼り付けるという作業を1日中したときはほんとに辞めたくなりました。

ひたすらな単純作業はメンタルによくないです。パターン通りに動かすだけなので、誰でも出来ます。自分は何のためにここにいるのだろう……。なんて危ない思考になるのでホントにテストは嫌いです。


SIerは今書いたようなExcelに向かう仕事がとにかく多いです。

Excelに向かうのが得意な人は向いているかもしれませんね!

僕は極力触りたくないです。Excelツライ……。

顧客の御用聞き

SIerは顧客から要件を聞き、その要望通りのシステムを作ります。

その要件は基本的にいかに現行業務を継続するか、という点にフォーカスされがちです。
つまり、いかに無駄な業務フローがあったり、社内政治的な事情があったりなどという理由で謎の仕様を組み込んだシステムが出来上がっていきます。

これを作ることで誰が幸せになるのだろう……。

という疑問を抱きだすと仕事がとてもやりづらくなります。この業務やめましょうよ!なんていうコンサルチックなことを言い始めたら下手すると顧客と揉めます。工事にやってきた人にこの業務やめればもっと良い建物にできますよ!なんて言われてもいい気はしないですよね。
システムでもそんな感じになります。

さらに、SIerはごちゃごちゃしたシステムを作るほうがプログラムを作る範囲や管理する工数が増えるので儲かるというジレンマもあります。

無駄な業務をそのままシステムにしてあまり便利でないシステムにした方が無駄金を払ってくれるので儲かります。ただ、あまりにややこしいことになると炎上して赤字になるのでごちゃごちゃ過ぎるのも問題なのですが。


そんなわけで、SIerは顧客の御用聞きとなり、いくら自分が無駄であったり非効率であると思ったことがあっても無理やり納得して受け入れなければなりません。

僕も嫌気が差すときがあります。そういったときに少し先輩に相談してみるのですが、「そうだよねぇ。でも仕方ないから。」みたいな形で諦めさせられます。

こういった御用聞きを続けることに嫌気がさして辞める人もいるようです。

いつまでも続く古いシステム

遺跡

COBOLを使い続けている部署が存在する、という話は有名です。もちろん、COBOLだからダメというわけではありませんが、他の技術を取り入れることでより良いものを作れるという環境は多く存在しています。

では、なぜ古い技術を使い続けるのでしょうか。


古い技術を使い続けている理由の一つとして、保守契約を顧客と結んでいる場合があります。
これは「システムがトラブったら私達が直すから毎月お金ちょうだいね!」っていう契約です。トラブらなければ何もしなくてもお金がもらえるいい契約ですね。

そんなおいしい話があるのに、わざわざ「新しいもの入れるとさらによくなりますよ!」なんて言うメリットがありません。もちろん顧客の為にはなりますが、手を動かしてもらえるお金と、何もしなくてももらえるお金が変わらなければ何もしないほうが楽ですよね。そういうことです。


他には少しづつ機能を追加していって誰も全貌が掴めない、なんていう恐怖のプロジェクトもあったりします。こうなるとすべて入れ替えるか、古い技術でツギハギにしていくしかありませんよね。

すべて入れ替えるような余裕がある会社なら今頃COBOLのシステムなんて使わずに新しいシステムの導入をしているでしょう。そこまでの余裕はないけど、新しい要件は取り入れないといけない、という状況に陥りツギハギのシステムが出来上がっていきます。


何にせよ、様々な理由から古い技術を使う現場がいくつも存在します。

そういった古い技術に触れ続けて将来性を感じずに辞めていく人も少なからずいます。


そういったレガシーシステムを作った人たちが定年を迎え、中身を理解できる人がいなくなっていくことで起こる問題として「2025年の崖」というものがあります。

簡単にいうと古くからのシステムで、中身が分かる人がいなくなることでメンテナンスに異常な費用がかかる問題です。日本全体で年間12兆円の損失なのだとか。

(この12兆円でSIerのようなシステム屋が儲かっているのも事実なのですが。)

新しい技術を取り入れない

Sierはシステムを作っているにも関わらず、新しい技術を取り入れるのはかなり遅いです。新しい技術が廃れ始めてから導入することも多いです。

特によく言われるのがセキュリティです。なにか新しいツールを入れて情報が漏れたらどうするんだ、なんて言って全然進みません。Slackとか使っている人は皆無ですし、個人のスマホで会議のメモを撮るのも禁止されたりします。そんな制限付ける割にはスマホは会社で普通に使えるのでよくわかりません。

個人のスマホがウイルス感染して動画を勝手に撮っている、なんてパターンのほうが会議の議事メモ代わりの写真よりよっぽど危険な気もしますが。

とても中途半端な運用が行われています。

もちろん、セキュリティに対する意識は大切です。顧客情報を漏らそうものなら笑えません。会社に行くのも恐怖でしょう。
ただ、もう少し上手くできないものかと思います。


もう一つは、社員があまり新しい技術に興味がありません。AIだのRPAだの言ってますが、詳しくどんな技術が使われているのか理解している人はほとんどいないのではないでしょうか。

パッケージ製品のようなできあがったシステムをカスタマイズして顧客に導入する場合なんて、何年も同じシステムに触れ続けます。そんなことを5年位していれば時代の流れにも置いていかれるものです。

マシンのスペックもプログラミングのテクニックもどんどん進化しています。

パッケージ製品の導入をしていれば、新しいものにも触れずに過ごすので、どんなものかもわかりません。

あれ、今自分がやってることって古くない?なんて気づいた人が辞めることもあります。また、パッケージ製品を入れるという似たようなことをやり続けているうちにスキルがこれ以上身につかない、と違うフィールドに旅立つ人もいます。

新しいことへの挑戦

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最後は1番ポジティブな理由です。もっと新しい技術に触れたい、もっと能力の高い人達に囲まれて揉まれたい、他の新しい世界を経験したい。

そんなポジティブな理由で飛び出していく人たちです。退職の理由はポジティブですが、裏を返せばSIerには新しい技術がなく、能力の高い人達もおらず、同じようなことを繰り返す世界が続いているということです。


実際にSierで働いていますが、言い返せないところがあります。もちろん、全て例外はあります。最新の技術を取り入れている最前線の部署もあります。尊敬できる能力の高い人もいます。どんどん新しいことを取り入れている部署もあります。

ただ、その部署にたどり着くのは難しいです。声を大にして言えば通ることもありますが、うまく行かないこともあります。そんな時に会社という組織ごと変えてしまうのが転職ですね。

会社なんて山程ありますからね。今いる世界がすべてではありません。外の世界を見てみたいという気持ちもわかります。

ただ、優秀な人がそう言った理由で辞めていくのは悲しいですね。

結論:なぜSIerから退職者が続出するのか

結論としては、SIerというシステムを扱う職業なのに、全然技術に触れていない事が原因だと考えられます。もちろん、設計や開発で技術に触れることもありますが、それに至るまでにするべきことが多いですね。

ひたすらに打ち合わせやExcelに向かって資料作成やテストの実施。技術に触れると思いきやレガシーシステムの追加開発。新たな技術は窓口に導入を拒否される始末。


技術者を名乗るにはあまりもワクワクが少ない職場だと思います。

僕は、技術とは「できない」を「実現する」ものだと思っています。そのためにいろいろ考え、形にしていくのが楽しいのですが、それを実現できない職場なので辞めていく人の思いは理解できます。

僕も何回も楽しくないと思って辞めたいと思いましたが、待遇が悪くないのでなかなか踏み切れずにいます。こうして僕は沈んでいくのでしょうか。どうにかしないと……。


もっとワクワク出来る職場に変えていきたいですね。どうすればいいのでしょうか。僕には答えがありません。

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